和歌山に“紀州のエジソン”と呼ばれる天才発明家がいます。島精機製作所の創業者で、コンピューター横編機とコンピューター・グラフィックス(CG)を融合させたシステム「ホールガーメント」を産み出し、世界のアパレル業界に革命を起こした島正博さんです。今回、出版された『愛 氣 創造 シマセイキ創業者 島正博とその時代』は島さんの半生を通じて、モノづくりの大切さと、仕事を愛し創造力と気力をもってあたればいかなる困難をも乗り越えられることを伝えてくれます。

 島さんは父を太平洋戦争で失い、貧しい母子家庭で育ちました。しかし、持ち前の負けん気と豊かな創造力で、工業高校の定時制に通っているころから発明を連発。軍手の編機開発からドレスなどの横編機開発へと活躍の場を広げていきました。
 開発費がかさみ倒産しかけたり、オイルショックで経営危機に見舞われたりしながらも、新しいアイデアとユニークな経営方法で乗り切り、自ら創業した島精機製作所を世界的な横編機メーカーへと発展させていきます。

 色の3原色をヒントに発明したデザインシステム、150年ぶりの改革となった編み針、伸縮するニット糸の供給制御装置…。島さんは自らの発明をフル活用し、1本の糸から自動で立体的な服を編み上げる「ホールガーメント」という画期的なシステムを作りあげました。切れ端が出ないから環境に優しく、全自動で縫製作業がなく人件費の高い先進国にも地産地消の道を開きました。そのユーザーはいまや、ベネトン、グッチ、ルイヴィトンなどからユニクロ、ZARAにまで拡がり、宇宙船内着の実験にも協力しています。

 そして、1本の糸から凝ったデザインの服を立体的に編み上げる技術はアパレル産業にとどまらず、医療・福祉分野から自動車や航空機のボディ製造まで、幅広い分野へ応用される可能性を秘めています。

 本書は、労働集約型産業だったアパレル業界を発明の力で近代化し、サステナブルな産業に変えていきたいという社会起業家・島さんの足跡を、具体的なエピソードと時代背景を交えながらたどり、島さんが掲げる理念「Ever Onward~限りなき前進」を具現化した島精機製作所の強さの秘密を解き明かしていきます。

【書名】『愛 氣 創造 シマセイキ創業者 島正博とその時代』
【発行】産経新聞出版
【著者】辻野訓司
【発行日】令和3年9月5日  
【定価】1,650円(税込)

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