2026/04/21 16:01
教育・研究エンジニア
<発表のポイント>
・カラスの黒い羽は、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rがホルモンなしでも高活性を保ち、黒色素を作り続けることで生じる可能性を示しました。
・黒色の野生鳥類で初めて、MC1Rの恒常的な活性化を細胞実験で実証し、複数のアミノ酸変化の関与を示しました。
・この成果は、黒色化に多様な分子機構があることを示し、収斂進化の理解に新たな知見をもたらします。
◆概 要
カラスはなぜ、あれほど黒いのでしょうか。身近でありながら長年謎とされてきたこの問いに、分子レベルから迫る新たな発見がありました。
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院環境生命自然科学学域(理)の竹内栄教授、相澤清香准教授らの研究グループは、羽の色を決める受容体「MC1R」に着目。その機能解析から、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rが、カラスでは切れることなく入り続けている可能性を明らかにしました。
鳥の羽や動物の体色は、主に黒色系のユーメラニンと赤褐色系のフェオメラニンのバランスで決まります。このバランスを調整するのがMC1R、いわば“色の切り替えスイッチ”です。通常はホルモン刺激によって一時的にオンになり、ユーメラニンの合成を促します。
本研究では、ハシブトガラスのMC1Rを培養細胞で詳細に解析した結果、ホルモンがなくても高い活性を保ち、ホルモン刺激への応答が弱いことが判明しました。つまりカラスでは、このスイッチ自体が常にオンの状態にあり、ユーメラニンが作られ続けていると考えられます。さらに、マウスやニワトリでは1アミノ酸置換で生じる「止まらないスイッチ」が知られていますが、カラスでは複数のアミノ酸変化の組み合わせで生じている可能性が示されました。
本研究は、野生の黒い鳥でこの仕組みを実験的に示した初めての成果です。カラスの黒さの謎に新たな答えを与えるとともに、生き物の色の収斂進化に関する重要な発見といえます。
本研究成果は、2026年4月6日 に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」オンライン版に掲載されました。
◆研究者からひとこと
カラスの羽はなぜ黒いのでしょうか。全身が黒いカラスは古くから神の使いとして語られ、黒い羽の理由も太陽に焼かれたためなどと説明されてきました。私はこの謎に博士前期課程の研究として取り組み、現代の科学で解明を試みました。カラスに魅せられ、この問いに関心を抱いてきたひとりのカラス好きとして、結果が出て嬉しい限りです(大学院環境生命科学研究科博士前期課程修了生の中野さん)。
◆論文情報
論 文 名:Constitutive Activation of MC1R in the Large-billed Crow (Corvus macrorhynchos) and Its Potential Role in Black Plumage
掲 載 誌:General and Comparative Endocrinology
著 者:Saya Nakano, Yuichi Tashiro, Hibiki Fukuchi, Sayaka Aizawa, Sakae Takeuchi
D O I: https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2026.114924
U R L: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0016648026000511?via=ihub
◆研究資金
本研究は、科学研究費補助金(基盤研究C:JP23K05851)の助成を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
カラスはなぜ真っ黒?―黒さの秘密は「止まらないスイッチ」にあった
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260417-3.pdf
◆参 考
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(理学部生物学科)分子内分泌学研究室
https://sites.google.com/view/molecular-endocrinology-lab/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学理学部
https://www.science.okayama-u.ac.jp/index.html
◆参考情報
・【岡山大学】鳥の「色」と「食」:「職」の違いは性格で決まる?~“兄弟分子”がたどった進化のストーリー~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003688.000072793.html
・【岡山大学】鳥類の羽毛形成に関わる新規遺伝子「PBCF」を発見~羽毛の進化と発生のメカニズムに新たな光~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002868.000072793.html
・【岡山大学】若冲が極彩色に描いた鶏の羽の性差:その謎を科学が解明 ~エストロゲンがメスの羽を形作る仕組み~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002532.000072793.html
◆参考動画
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(理)教授 竹内 栄
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス 理学部本館
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1536.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究機器の共用の体制・整備等の強化促進に関するタスクフォース(略称:チーム共用)
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
FAX:
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・カラスの黒い羽は、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rがホルモンなしでも高活性を保ち、黒色素を作り続けることで生じる可能性を示しました。
・黒色の野生鳥類で初めて、MC1Rの恒常的な活性化を細胞実験で実証し、複数のアミノ酸変化の関与を示しました。
・この成果は、黒色化に多様な分子機構があることを示し、収斂進化の理解に新たな知見をもたらします。
◆概 要
カラスはなぜ、あれほど黒いのでしょうか。身近でありながら長年謎とされてきたこの問いに、分子レベルから迫る新たな発見がありました。
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院環境生命自然科学学域(理)の竹内栄教授、相澤清香准教授らの研究グループは、羽の色を決める受容体「MC1R」に着目。その機能解析から、黒さを生み出す“スイッチ”であるMC1Rが、カラスでは切れることなく入り続けている可能性を明らかにしました。
鳥の羽や動物の体色は、主に黒色系のユーメラニンと赤褐色系のフェオメラニンのバランスで決まります。このバランスを調整するのがMC1R、いわば“色の切り替えスイッチ”です。通常はホルモン刺激によって一時的にオンになり、ユーメラニンの合成を促します。
本研究では、ハシブトガラスのMC1Rを培養細胞で詳細に解析した結果、ホルモンがなくても高い活性を保ち、ホルモン刺激への応答が弱いことが判明しました。つまりカラスでは、このスイッチ自体が常にオンの状態にあり、ユーメラニンが作られ続けていると考えられます。さらに、マウスやニワトリでは1アミノ酸置換で生じる「止まらないスイッチ」が知られていますが、カラスでは複数のアミノ酸変化の組み合わせで生じている可能性が示されました。
本研究は、野生の黒い鳥でこの仕組みを実験的に示した初めての成果です。カラスの黒さの謎に新たな答えを与えるとともに、生き物の色の収斂進化に関する重要な発見といえます。
本研究成果は、2026年4月6日 に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」オンライン版に掲載されました。
◆研究者からひとこと
カラスの羽はなぜ黒いのでしょうか。全身が黒いカラスは古くから神の使いとして語られ、黒い羽の理由も太陽に焼かれたためなどと説明されてきました。私はこの謎に博士前期課程の研究として取り組み、現代の科学で解明を試みました。カラスに魅せられ、この問いに関心を抱いてきたひとりのカラス好きとして、結果が出て嬉しい限りです(大学院環境生命科学研究科博士前期課程修了生の中野さん)。
◆論文情報
論 文 名:Constitutive Activation of MC1R in the Large-billed Crow (Corvus macrorhynchos) and Its Potential Role in Black Plumage
掲 載 誌:General and Comparative Endocrinology
著 者:Saya Nakano, Yuichi Tashiro, Hibiki Fukuchi, Sayaka Aizawa, Sakae Takeuchi
D O I: https://doi.org/10.1016/j.ygcen.2026.114924
U R L: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0016648026000511?via=ihub
◆研究資金
本研究は、科学研究費補助金(基盤研究C:JP23K05851)の助成を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
カラスはなぜ真っ黒?―黒さの秘密は「止まらないスイッチ」にあった
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260417-3.pdf
◆参 考
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(理学部生物学科)分子内分泌学研究室
https://sites.google.com/view/molecular-endocrinology-lab/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学理学部
https://www.science.okayama-u.ac.jp/index.html
◆参考情報
・【岡山大学】鳥の「色」と「食」:「職」の違いは性格で決まる?~“兄弟分子”がたどった進化のストーリー~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003688.000072793.html
・【岡山大学】鳥類の羽毛形成に関わる新規遺伝子「PBCF」を発見~羽毛の進化と発生のメカニズムに新たな光~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002868.000072793.html
・【岡山大学】若冲が極彩色に描いた鶏の羽の性差:その謎を科学が解明 ~エストロゲンがメスの羽を形作る仕組み~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002532.000072793.html
◆参考動画
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(理)教授 竹内 栄
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス 理学部本館
TEL:

FAX:

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1536.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:

E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究機器の共用の体制・整備等の強化促進に関するタスクフォース(略称:チーム共用)
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:

FAX:

E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html



