2025/05/11 22:26
教育・研究エンジニア
<発表のポイント>
・海洋の環境維持において重要な役割を果たしているハプト藻から、光化学系II(PSII)-フコキサンチン・クロロフィルc結合タンパク質(FCPII)を単離しました。
・岡山大学異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡Titan Krios G4を用いて、PSII-FCPIIの構造を2.2Å分解能で解明しました。
・高い分解能のため、珪藻や紅藻で発見されていたPsb36というサブユニットの配列を初めて決定できました。
・これまで報告されている光化学系II-アンテナ超複合体とは異なり、PSII二量体の外側にそれぞれ6個ずつFCPIIが結合していました。
・6個のFCPIIのうち1個は、エネルギー伝達と余剰エネルギー散逸のハブとなっている可能性があることが分かりました。
◆概 要
ハプト藻類は、海洋バイオマスの30~50%を生産する単細胞藻類であり、地球上の炭素固定の10%、海洋の炭酸カルシウム(CaCO3)生成の50%を担う重要な藻類です。しかし、ハプト藻類によるエネルギー変換システムの詳細なメカニズムは、まだ十分に解明されていません。
今回、国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)のRomain La Rocca 助教(特任)、加藤公児准教授(特任)、蔡弼丞助教(特任)、中島芳樹助教、秋田総理准教授、沈建仁教授のグループは、岡山大学異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡を用いて、ハプト藻類の代表的な種であるChyrostila roscoffensis由来の光化学系II(PSII)-フコキサンチン・クロロフィルc結合タンパク質(FCPII)超複合体の構造を2.2Åの高分解能で解明しました。
この構造は、これまで報告された緑藻や珪藻のPSII-LHCII (FCPII)の構造と異なり、PSII二量体の両側に6個ずつ、計12個のFCPIIが結合していました。高分解能の解析の結果、珪藻や紅藻で発見されていましたが、配列が未同定のサブユニットであるPsb36の配列を初めて決定することができました。
また、主要な励起エネルギー移動経路を同定しました。これらの成果は、ハプト藻におけるエネルギー伝達の機構を解明するだけでなく、進化の過程におけるPSII-FCPIIの変化にも重要な知見を提供しました。
この成果は、2025年5月5日 、英国学術雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
○コアファシリティポータルの「クライオ電子顕微鏡」の装置概要、予約、依頼測定の申込はこちら
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/equipment/view/1047
○コアファシリティポータルのトップページはこちら
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/
◆Romain La Rocca 助教からのひとこと
2023年の夏から岡山大学で研究している、フランス出身の構造生物学研究者です。クライオ電子顕微鏡、X線結晶構造解析、生物物理学の手法でタンパク質のメカニズムを解明しています。
(I use cryo-EM, crystallography and biophysics to obtain insights into protein mechanisms. French structural biology researcher.)
◆論文情報
論 文 名:Structure of a photosystem II-FCPII supercomplex from a haptophyte reveals a new antenna organization
掲 載 紙:Nature communications
著 者:Romain La Rocca, Koji Kato, Pi-Cheng Tsai, Yoshiki Nakajima, Fusamichi Akita, and Jian-Ren Shen
D O I:10.1038/s4
2-9
U R L:https://www.nature.com/articles/s41467-025-59512-9
◆研究資金
本研究は、日本学術振興会特別推進研究(JP22H04916)の支援を受けて実施しました。また、本論文は「岡山大学 インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援」を受けています。
◆詳しい研究内容について
海洋の環境維持において重要な役割を担うハプト藻由来光化学系II-アンテナ超複合体の構造を解明
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250508-2.pdf
◆参 考
・岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)
http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院「クライオ電子顕微鏡」を中国・四国地域に初導入!学外への機器共用も開始!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002007.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)教授 沈 建仁
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
岡山大学 学術研究院 先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)准教授 秋田総理
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
、
FAX:
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・海洋の環境維持において重要な役割を果たしているハプト藻から、光化学系II(PSII)-フコキサンチン・クロロフィルc結合タンパク質(FCPII)を単離しました。
・岡山大学異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡Titan Krios G4を用いて、PSII-FCPIIの構造を2.2Å分解能で解明しました。
・高い分解能のため、珪藻や紅藻で発見されていたPsb36というサブユニットの配列を初めて決定できました。
・これまで報告されている光化学系II-アンテナ超複合体とは異なり、PSII二量体の外側にそれぞれ6個ずつFCPIIが結合していました。
・6個のFCPIIのうち1個は、エネルギー伝達と余剰エネルギー散逸のハブとなっている可能性があることが分かりました。
◆概 要
ハプト藻類は、海洋バイオマスの30~50%を生産する単細胞藻類であり、地球上の炭素固定の10%、海洋の炭酸カルシウム(CaCO3)生成の50%を担う重要な藻類です。しかし、ハプト藻類によるエネルギー変換システムの詳細なメカニズムは、まだ十分に解明されていません。
今回、国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)のRomain La Rocca 助教(特任)、加藤公児准教授(特任)、蔡弼丞助教(特任)、中島芳樹助教、秋田総理准教授、沈建仁教授のグループは、岡山大学異分野基礎科学研究所国際構造生物学研究センターのクライオ電子顕微鏡を用いて、ハプト藻類の代表的な種であるChyrostila roscoffensis由来の光化学系II(PSII)-フコキサンチン・クロロフィルc結合タンパク質(FCPII)超複合体の構造を2.2Åの高分解能で解明しました。
この構造は、これまで報告された緑藻や珪藻のPSII-LHCII (FCPII)の構造と異なり、PSII二量体の両側に6個ずつ、計12個のFCPIIが結合していました。高分解能の解析の結果、珪藻や紅藻で発見されていましたが、配列が未同定のサブユニットであるPsb36の配列を初めて決定することができました。
また、主要な励起エネルギー移動経路を同定しました。これらの成果は、ハプト藻におけるエネルギー伝達の機構を解明するだけでなく、進化の過程におけるPSII-FCPIIの変化にも重要な知見を提供しました。
この成果は、2025年5月5日 、英国学術雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
○コアファシリティポータルの「クライオ電子顕微鏡」の装置概要、予約、依頼測定の申込はこちら
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/equipment/view/1047
○コアファシリティポータルのトップページはこちら
https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/
◆Romain La Rocca 助教からのひとこと
2023年の夏から岡山大学で研究している、フランス出身の構造生物学研究者です。クライオ電子顕微鏡、X線結晶構造解析、生物物理学の手法でタンパク質のメカニズムを解明しています。
(I use cryo-EM, crystallography and biophysics to obtain insights into protein mechanisms. French structural biology researcher.)
◆論文情報
論 文 名:Structure of a photosystem II-FCPII supercomplex from a haptophyte reveals a new antenna organization
掲 載 紙:Nature communications
著 者:Romain La Rocca, Koji Kato, Pi-Cheng Tsai, Yoshiki Nakajima, Fusamichi Akita, and Jian-Ren Shen
D O I:10.1038/s4
2-9U R L:https://www.nature.com/articles/s41467-025-59512-9
◆研究資金
本研究は、日本学術振興会特別推進研究(JP22H04916)の支援を受けて実施しました。また、本論文は「岡山大学 インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援」を受けています。
◆詳しい研究内容について
海洋の環境維持において重要な役割を担うハプト藻由来光化学系II-アンテナ超複合体の構造を解明
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250508-2.pdf
◆参 考
・岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)
http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院「クライオ電子顕微鏡」を中国・四国地域に初導入!学外への機器共用も開始!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002007.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学4研究所が「高等先鋭研究院」として始動 ~組織としての「箱」ではなく、卓越、イノベーション創出、流動、育成を兼ね揃えた「システム」として運用を開始~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001835.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)教授 沈 建仁
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:

FAX:

岡山大学 学術研究院 先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)准教授 秋田総理
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:

http://www.riis.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:

E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
、
FAX:

E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html


