近年、日本で数多く取り上げられている少子化問題。歯止めのかからない少子化に、政府が「異次元の少子化対策」のひとつとして導入を検討していたのが、“こども誰でも通園制度(仮)”です。



この、“こども誰でも通園制度(仮)”が、6月16日に閣議決定され、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2023」(※1)に盛り込まれました。



この制度は、親が働いていなくても誰でも保育園を利用できるようになるもので、親や子どもの孤立を防ぐ狙いがあります。



株式会社ネクストレベル(本社所在地:神奈川県横浜市、代表取締役:田中大洋)が運営する「縁結び大学」(https://jsbs2012.jp/date/)では、“こども誰でも通園制度(仮)”の認知度や関心度、制度の必要性について、独身・既婚男女119人に調査し、7月18日  に公開しました。



制度に対する人々の意識を比較し、本当に子育て世帯の育児負担を軽減する制度となり得るのかみていきます。

(※1)経済財政運営と改革の基本方針2023

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/decision0616.html



※本記事内で示す「保育園」とは、「認可保育園」を指しています



“こども誰でも通園制度(仮)”をよく知っていた人は4.2%



2023年3月31日に岸田内閣が「異次元の少子化対策」のひとつとして提言していたこの制度。6月に政府の骨太方針に盛り込まれたことでニュースになり、初めて知った人も多いのではないでしょうか。



“こども誰でも通園制度(仮)”の認知度について調べてみると、「知らない」が50.4%で最も多く、「言葉だけは聞いたことがある」「なんとなく知っている」の合計が36.1%、「知っている」「よく知っている」の合計が13.5%でした。



「知っている」「よく知っている」と回答した人は、わずか13.5%という結果から、“こども誰でも通園制度(仮)”の認知度はまだ低いことがわかります。



未婚と既婚、子供がいるいないによる認知度の違いとは?

https://jsbs2012.jp/date/kodomodaredemo-tsuenseido#a001-002



過半数が“こども誰でも通園制度(仮)”に「関心がある」と回答

続いて、“こども誰でも通園制度(仮)”の関心度について調べてみました。



一番多かったのは「関心がある」の55.5%、続いて「どちらでもない」の25.2%、「関心がない」の19.3%でした。



2024年度に本格実施を見据えている制度のため、現在の認知度は低かったですが、アンケートで制度の内容について触れると関心度は高くなりました。



制度に「関心がある」は既婚者が67%、未婚者が35%



次に、婚姻状況によって関心度に違いがあるのか比較してみました。



既婚男女は、67.1%が「関心がある」と回答しました。続いて「どちらでもない」が22.4%、「関心がない」が10.5%という結果でした。未婚男女の場合は、「関心がある」「関心がない」が34.9%で同率1位です。



さきほどの認知度と同様に、未婚男女に比べて既婚男女の「関心がある」割合は約2倍と、婚姻状況による関心度に違いがみられます。少子高齢化が社会的に問題になっているとはいえ、結婚し子育てが自分ごとにならないと関心を持つことは難しいといえそうです。



では、子供の有無または子供の人数は、関心度に影響があるのでしょうか。



「過去に保育園に通園していた」人は、制度への関心が比較的低い

次に、現在子供がいる人を対象に、保育園または幼稚園への通園歴が関心度に影響がないかについても調べてみました。





通園歴に限らず関心がある人のほうが多い結果でしたが、その割合には多少の差が見られました。



「現在(保育園に)通園している」「幼稚園に通っている(いた)」「どこにも通園した経験がない」という人は6〜7割以上が関心があるのに対し、「過去に(保育園に)通園していた」人は5割ほどでした。



過去に通園していた人が関心が持てない理由については、「子供が大きいから」「制度を知らないから」という2つに偏っています。やはり子供がいても、自分に直接影響がなければ関心が持てないというのが正直なところのようです。



関心がある理由とは?(リアルな声)

https://jsbs2012.jp/date/kodomodaredemo-tsuenseido#a002-005



関心がない理由とは?(リアルな声)

https://jsbs2012.jp/date/kodomodaredemo-tsuenseido#a002-006



半数近くが“こども誰でも通園制度(仮)”を利用すると回答

次は、“こども誰でも通園制度(仮)”が施行された場合、実際に制度を利用するかどうか聞いてみました。



もっとも多かった回答は「利用する」の39.5%、次いで「まだわからない」の37.8%、「利用しない」の15.1%、「絶対に利用する」と回答した人は7.6%でした。「利用する」「絶対に利用する」と回答した【利用する派】が47.1%と半数近くを占めています。



【利用する派】の人は、どのような目的・理由で活用する人が多いのでしょうか。



利用する理由でもっとも多いのは「夫婦共働きのため」



※未婚の方は、将来子どもができた場合に、利用する理由として想定されるものを回答



制度を利用する理由として一番多かったのは「夫婦共働きのため」の64.3%でした。おそらくこの結果に関しては、多くの人にとって予想通りだったことでしょう。



続いて、2位に「育児疲れの軽減」の 50.0%、3位に「自分の自由時間を作るため」の39.3%、4位に「趣味の時間を増やすため」の16.1%という回答が並びました。



ここで利用したい理由を、現在、保育園の入園資格とされている『保育の必要性の事由』に該当するものと『それ以外』に分けて、それぞれ合計を比較してみましょう。





(※1)保育の必要性の事由:夫婦共働きのため/妊娠・出産のため/ご自身の病気のため/求職活動/ご自身またはパートナーの就学/同居家族・親族の介護や看護

(※2)それ以外:育児疲れの軽減/自分の自由時間を作るため/趣味の時間を増やすため/ママ友作り・パパ友作り



その結果、『それ以外』のほうが7.1ポイント上回りました。つまり、“こども誰でも通園制度(仮)”が施行された後は、これまでNGだった理由で保育園が利用される頻度が高くなる可能性があるということです。



これにおいては、政府の狙い通りといえるのではないでしょうか。



しかし、入園資格が定められているにも関わらず、入園応募者のすべてが保育園に入園できている現状があるなか、これだけのニーズすべてに本当に応えられるのか。今後も注視していく必要がありそうです。



女性が制度を利用する理由の1位は「育児疲れの軽減」

制度を利用する理由について、もう少し深掘ってみましょう。次は、利用する理由に関して男女で比較してみました。





男性の1位は「夫婦共働きのため」の79.3%で、8割近くと高い割合でした。女性の回答でも48.1%で約半数近くに達しました。注目したいのは、女性の1位で「育児疲れの軽減」の55.6%です。男性より10ポイント以上多い結果でした。



世論調査によると、共働き家庭の母親と専業主婦の39.3%が「子育てによる身体の疲れが多い」と答え、63.7%が「自分の自由な時間が持ていない」(※1)と回答しています。



(※1) 平成16年版 少子化社会白書(全体版)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/html_h/html/g1223310.html



近年、男性が育児休暇を取得するなど、父親も家事や育児に積極的に参加する風潮となってきていますが、実際にはまだまだ女性の家事・育児の負担が軽減されているとは言い難い状況なのかもしれません。



「求職活動」で保育園を利用したい人、女性22%、男性0%

次に注目したのは、女性4位の「求職活動」です。男性の0%に対し、女性は22.2%でした。



社会全体の意識は大きく変わってきているとはいえ、やはり「女性は家にいて欲しい」という封建的な考えが未だ残っており、これが女性の社会進出を阻んでいると言わざるを得ません。まさにジェンダー後進国と言われる日本の現状を表した結果といえるでしょう。



利用しない理由の1位は「保育士不足が懸念されるため」



次は、制度を「利用しない」と回答した人に、その理由について尋ねてみました。



もっとも多かったのは、38.9%で「保育士不足が懸念されるため」でした。3位の「本当に必要な人が利用できなくなるため」の22.2%とともに、待機児童や保育士不足などを懸念しての回答と推察できます。



保育士不足が社会的な問題になっている現状で、問題が解決されないうちに“こども誰でも通園制度(仮)”が施行されれば、労働環境の悪化による保育士の離職が更に進むかもしれません。



保育士が減れば、保育の質の低下も懸念されます。そういった事情から、制度が施行されても利用を躊躇する人がいると言えそうです。



子どもがいる人の4割が子育て中に「孤立」を感じていたと回答

この制度の大きな目的は、親や子どもの孤立を防ぐことにあります。そこで、どのくらいの人が子育て中に「孤立」を感じているのか、子どもがいる人に対して聞いてみました。







「(孤立を感じたことは)ない」が60.5%と多数派で、「(孤立を感じることが)たまにある」「ある」の合計は39.5%と4割を切る結果でした。



孤立を感じたときはどんなとき?

「孤立」を感じたと回答した人は、どのような環境下で子育てをしていたのでしょうか。孤立を感じたエピソードを聞いてみました。



近くに両親も知り合いもいないので、日々孤独に感じる。悩みを相談する場所がなかなかない。(東京都杉並区・30代女性) 

夫が自宅にいる間も、ほとんどワンオペ状態だから。(高知県・30代女性)

一人で子供といる時間が長いから、大人と話す機会がない。家にこもってばかりになり、気がめいってきてしまった。(大阪府吹田市・40代女性)



育児や家事の負担感だけではなく、不安や悩みを吐露する相手や何気ない会話ができる相手がいない環境が「孤独」を感じさせているようです。



孤立を感じなかった理由は「他者のサポートがあったから」が上位

それでは逆に、「孤立」を感じなかったという人は、どのような環境下で子育てをしていたのでしょうか。



もっとも多かったのは「配偶者が協力的」という理由で、72.1%でした。続いて「親(義親)のサポートが得られたから」が67.4%、「保育園に通園していたから」が39.5%、「悩みを相談できる友人がいた」が25.6%です。



子育てにおいては、配偶者の協力や親のサポートはとてもありがたいものです。子育ての悩みを相談できたり家事を分担してくれるなど、頼れる存在があることで、心理的にも体力的にも負担が減り、気持ちに余裕ができます。家族間のサポートを得ることで「子育て中の孤独」を感じずに済むのかもしれません。



そして、注目したいのは3位の「保育園に通園していたから」という理由です。これは、まさにこの制度の目的としている「親の孤立を防ぐ」ということに当てはまる回答です。



では、保育園に通園中の人と過去に通園していた人のうち、どのぐらいが「孤立を感じなかった理由は保育園に通園していたから」だと感じているのでしょうか。



約6割が「保育園が孤立の防止に繋がった」と感じている



保育園に通っている・通っていた人のうち、孤立を感じなかった理由として「保育園に通園していたから」を選択したのは58.6%で3位でした。1位の「親(義親)のサポートが得られたから」とは13.8%の差はあるものの、約6割が保育園の存在が孤立を防ぐことにつながったと感じているようです。



このことから、“こども誰でも通園制度(仮)”は、「親の孤立を防ぐ」ことの一翼を担う制度となり得ると言えるのかもしれませんね。



63%が“こども誰でも通園制度(仮)”を必要と回答

最後にズバリ、“こども誰でも通園制度(仮)”は、子育てをするなか(これから子育てをしていくなか)で、本当に必要な制度だと思うのか聞いてみました。



「必要」が63%と多数派で、次いで「わからない」が29.4%、「必要でない」が7.6%でした。反対意見や政府への批判がありつつも、制度自体は歓迎されているようです。



次に、“こども誰でも通園制度(仮)”が必要な理由について聞いてみました。







もっとも多かったのが「精神的な余裕が生まれる(89.3%)」でした。9割近い人が、“こども誰でも通園制度(仮)”を利用することで、「精神的に余裕が生まれるかもしれない」と考えているという結果です。



裏を返せば、多くの人が子育てに対するイメージについて、「精神的に余裕がなくなる」というマイナスイメージを持っているがゆえの結果とも言えるでしょう。



では、“こども誰でも通園制度(仮)”が必要な理由について、性別による違いはないのでしょうか。





男女とも1位は「精神的な余裕が生まれる」という回答で違いはありません。



2位以降は、男女で多少の傾向の違いが見られました。



男性は「希望人数の子どもを持てる(40.0%)」「家事がやりやすくなる(40.0%)」が上位であるのに対し、女性は「イライラせず子どもや家族に優しくなれそう(62.9%)」「自分の自由時間ができるので嬉しい(51.4%)が上位となりました。



女性の2位の「イライラせず子どもや家族に優しくなれそう(62.9%)」は、男性では5位32.5%で30.4ポイントの差あります。



また「病院・美容院など、自分のことに費やす時間ができそう」においては、男性が7位で20.0%、女性が5位で40%と2倍の差がありました。



子育て中はどうしても子ども中心の生活になり、なかなか自分のためだけに時間を使えません。家事や育児は夫婦で分担するものですが、実際には女性の負担が多いケースもあります。



内閣府の調査(※1)によると、6歳未満の子を持つ夫の1日の平均育児時間は49分。妻の平均育児時間である3時間45分の18%です。この数字が多いのか少ないのかの捉える方は個人差があるでしょうが、育児時間に関して夫婦間で少なくとも5倍以上の違いがあるのは事実です。



女性の多くが、自分の時間を確保できないことから、ストレスが溜まり周囲に対して心の余裕がなくなってイライラを感じてしまうということが、浮き彫りになった結果と言えるのではないでしょうか。



(※1)内閣府「ワンオペ育児」の現状

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/kokufuku/k_4/pdf/s1.pdf



“こども誰でも通園制度(仮)”を施行する前に保育士の待遇の改善を

「制度が必要でない」と思う理由も聞いてみました。



一番多かったのは「制度だけあっても保育現場では実際対応できないと思う」の66.7%、次に「保育者の待遇を改善することを優先すべき 」の44.4%、「現在も保育園の空きがない状況なのにもっと利用が難しくなる」の33.3%でした。



“こども誰でも通園制度(仮)”が必要でないと考える人の6割以上は、「そもそも制度として成り立たないだろう」という疑念を抱いているようです。



この疑念の背景にある保育士・保育園不足の問題は、日本が長年抱えてきたものです。その問題の解決の緒さえ見えない現状で、来年度(2024年度)に制度が施行されてしまうことには、多くの人が疑問を抱いているのではないでしょうか。



まとめ:人との関わりを持つことが子育ての孤立を防ぐ

今回のアンケートでは次のようなことが分かりました。



・“こども誰でも通園制度(仮)”の世間の認知度はまだ低め

・結婚している男女の関心度は高い傾向

・女性が制度を利用する理由は「育児疲れの軽減」

・子育て中の4割が「孤立」を感じた経験あり

・6割以上が制度を必要



“こども誰でも通園制度(仮)”が、育児の孤独を解決し、強いては少子化への歯止めの一助となるよう期待したいですね。



調査方法:インターネットアンケート

アンケート母数:計119名

実施時期:2023年6月3日  ~6月9日  

調査実施主体:縁結び大学(https://jsbs2012.jp/date/

調査会社:株式会社ネクストレベル



☆関連ページ:https://jsbs2012.jp/date/kodomodaredemo-tsuenseido



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