2014年に公開された「平成26年度医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)によると、整形外科は女性医師が4.6%と、診療科の中で女性医師の割合が最低で、また令和元年度調査によると、時間外労働が1,860時間を超える整形外科医は10.1%も存在しています。

2019年度より労働基準法に時間外労働に上限規制が課せられたことから、厚生労働省は医師の働き方改革の仕上げとして「医師労働時間短縮計画」「医師の健康確保」と「評価機能」とを定めた「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(以下、「改正医療確保法」)を2021年5月28日に公布されました。

長時間労働の医師に対し医療機関が講ずべき健康確保措置等の整備や、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に対する支援の強化等の措置が講じられることになります。

折しも6月10日  から7月12日  まで第94回日本整形外科学会学術総会(以下、学会)がWEB開催されています。
URL:http://www.joa2021.jp/app/index.html

整形外科は、いわゆる3k(「きつい」、「苦しい」、「汚い」)に加え「苦痛」、「過労」、「帰れない」、「悔いる」、「気が滅入る」等のKも加えられる多K職場と目されています。腰痛や肩こりを訴える女性が多い中、対応できる女性医師は少ない現状もあります。そこで明日の整形外科学会を改善するために、整形外科医を取り巻く状況をより働きやすくする方法や対策を集約し、学会参加者に修学目的に企画されたのがシンポジウム52「若手整形外科医の育成―労働衛生の観点から―」です。

産業医科大学整形外科学講師川崎展(まこと)医師が筆頭シンポジストとして講演されています。

川崎医師自身が整形外科医を志した25年前の実情を踏まえ、2024年からの医師の時間外労働上限規制の現状、

厚生労働省、日本医師会および医療機関による週20時間分のタスクシフトという、医師業務分担の実例紹介、

産業医科大学での実際の働き方改革、同整形外科学講座でのITを活用した会議の削減例他、2021年4月  からの改正電離放射線障害防止規則にさえ対応した対策等、明日からすぐ導入できる対応事例を複数紹介されました。

今回の川崎展医師の紹介された産業医科大学での具体的な実施内容を知ることで、全国の整形外科学医は確実に働きやすくなるることでしょう。


合同会社パラゴン(本社:東京都港区 URL:https://pro-sangyoui.com)はストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえた働きやすい職場づくり等を通じた「健康経営」を具体的に推進する組織として知られており、かつその実施者である櫻澤博文は「メンタル産業医」の命名者です。

また以下の議論に参加してきている立場でもあります。

その1:2019年4月29日   第30回日本医学会総会 2019中部「医師の社会的使命と過重労働・ワークライフバランス」シンポジストとして行政(官)や日本医師会、そして学者(学)からの分析や検討に関する議論に参加すると共に、産業医という実務家の立場から、「産官学」が三位一体となり、かつ最適と考えられる具体的対応方法を紹介。


その2:2020年6月12日  ~28日 第93回日本産業衛生学会 シンポジウム13「令和時代の産業保健支援とは~恒常的人口減社会における産業保健支援のあり方~」(WEB開催)共同座長兼シンポジストとして、医療・保健福祉業における医療・保健福祉職の労働安全衛生管理の在り方や労働者性に関して議論を主導。


※これらを含めた当社のこれまでの医療保健福祉機関に対する支援内容は以下から確認できます。
https://pro-sangyoui.com/iryouhokenfukushisangyoui

以上のように医療機関の提供する医療水準を下げることなく医師の長時間労働を低減する支援のあり方に関して複数の研究成果を発表してきた経緯から、共同演者として講演内容編成に協力し、「医療確保法」を掛け声だけに終わらせないために、以下の情報提供を行いながら、川崎医師に、そのシンポジストとしての発表内容の構成要素と内容とを提案しました。


・労働者性の構成要件やその保護のために必要となる時間外労働を規制する法的保護概念

・法的保護概念を実現させるために国や日本医師会が構築した具体的な対応

・快適職場形成に向け、医療機関として時間外労働削減のための具体的対応手段

今回、日本整形外科学会がシンポジウムとして産業医学をリードする組織からの、より具体的な実践内容を取り上げました。このことで全国の整形外科医は、「健康経営」よろしく、よりイキイキと、その持つ医療技術を提供できるようになるでしょう。その結果、受療者側である市民の満足度や充足度もより高まることが期待できます。

今後は、他の繁忙な救急科や脳神経外科、産科医療においても、上記の内容が水平展開されていくことで「医療確保法」が実体を伴う医療従事者の支援になると共に、医療の享受者である市民が、より安心して病院やクリニックにかかることができることを願ってやみません。


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