PENICILLINのヴォーカリストHAKUEIの誕生日当日となる12月16日(水)  、PENICILLIN HAKUEI BIRTHDAY LIVE 「SUPER HEART CORE '20」と題し、毎年恒例のハースデーライブが行なわれた。例年とは異なり、今年は無観客ライブ配信という形での開催。むしろ、その淋しささえも力に変えたライブをPENICILLINは見せてくれた。

 「第九」の音楽に合わせ、メンバーたちがゆっくりと舞台へ姿を現した。最後にHAKUEIが姿を現すのを確認するように、千聖のギターがリフを刻みだす。彼の音へ追随するようにO-JIROのドラムとChiyuのベースが音を響かせた。HAKUEIが「Blood Red Snow White」を歌いだすのに合わせ、楽曲は一気に速度を上げ出す。艶かしい歌声を魅力にしながらも、カメラの先で観ている人たちを煽るように歌うHAKUEI。挑発するように歌うHAKUEIの姿へ触発され、Chiyuが声を張り上げ煽れば、千聖の荒ぶるギターと切れ味鋭いビートを叩くO-JIROのドラムが、HAKUEIの高まる気持ちを強く後押ししてゆく。まさに、スリリングという言葉が似合う幕開けだ。
火を噴くような激しい千聖のギターリフが炸裂。HAKUEIが「聖・MARIAN HURRICANE」を歌いだすのに合わせ、緊張から解き放たれたように楽曲は一気に輝きを放ちだす。HAKUEIも、画面の先で見ている人たちの心へ光を注ぐように、心に翼を与える歌を届ける。日々、自分の身の回りをうろつくネガティブな感情を、この歌が、HAKUEIの歌声が吹き飛ばしてくれるようだ。彼らの演奏に触れていたら、心に光の矢が次々と突き刺さり、閉ざしていた気持ちが開放されてゆく。
続く「VOID」では、HAKUEIがダーク&ワイルドな演奏に乗せ「VOID×∞」と熱く叫びながら、ふたたび観ている人たちを煽り出す。光と影二つの表情(曲調)を巧みに交錯させながらも、根底にあるのは、観ている人たちの気持ちを熱く高ぶらす攻撃的な演奏。画面越しとはいえ、何時しか身体が騒ぎたくてウズウズしていた。HAKUEIが「VOID×∞」と叫ぶたびに、心の中にいる自分が暴れだす。

 この日、50代を迎えたHAKUEI。MCでは、相変わらずクールな姿を見せていた。「人生100年時代と言われてるようですが、ちょうど人生の折り返し地点だと思っています。人生の後半に突入したということで改めて頑張っていこうと思います」と、HAKUEIは誕生日を迎えての言葉を述べていた。

HAKUEIを、PENICILLINを愛する愛しき仲間たちとの愛情を改めて確かめあうように。ここからもっともっと熱いライブという抱擁を交わそうよと誘いをかけるよう、PENICILLINは「make love」を届けてくれた。HAKUEIは、もっと熱い関係になろうとせまるように「make love」を歌っていた。HAKUEIの甘い心の声を、3人が開放感を持った演奏で支えてゆく。愛を捧げるように歌うその姿、ずっと憧れる視線で見つめていたかった。
これまでの幸せな雰囲気から、一変。乱れ狂う心の様を嘆くように、HAKUEIは「C-section」を歌いだした。不安にさいなまれる気持ちを隠すことなく。それどころか、想い巡る感情を裸のまま歌声や演奏を通し伝えることで、彼ら自身がみずから心救われようとしているようにも見えていた。
 スリリングでダークなChiyuのベースの旋律へ導かれるように,千聖が、O-JIROが鋭い音を刻みだす。黒く重い空気へ引き込まれるように、HAKUEIが「number53 -僕ラハ53番目ノヒト-」を歌いだす。とても艶かしい歌声だ。でも、艶やかなその声には、嘆きにも似た悲しみを覚える。今宵のPENICILLINは、いや、HAKUEIは、合わせ鏡のように”歓喜”と”嘆き”異なる心模様を楽曲の中へ交互に映しながら、それが自分を形成してきた要素なんだと伝えているようだった。

 「HAKUEIさん50歳ですよ」と語りだしたのが、O-JIRO。ここでは50歳をテーマにした会話を、Chiyuを交えた4人で語っていた。「今日のお召し物か白いハット。それを見てハッとした」と語ったのが千聖。さらにここでは「鬼滅の刃」の話もメンバーたちが繰り広げてゆくのだが、炭次郎の話題が何時しか(一瞬で)ラグビーの五郎丸の話に変わるなど、横道に逸れてゆくのは何時ものこと。

刀を振りかざし、一刀両断する勢いを持ってPENICILLINは「赤裸の境界」を演奏。次々と敵を斬り倒しながら進撃してゆくような、攻撃的な千聖のギター。O-JIROやChiyuの演奏も、切れ味鋭くもパワフルなビートを叩き出し、演奏に熱を加えてゆく。何より、HAKUEI自身が感情の牙を一気に剥き出し、今にも喰らいつくような姿を持ってせまっていた。挑発する、挑戦的な姿は、まさに戦闘モードへ突入したPENICILLINの姿そのものだ。
熱を持った空気をさらに沸かせるように、彼らは「anti beauty」を突きつけた。攻撃性を増すのは、もちろん。その中へ艶かしく挑発する様も見せてゆく。毒々しい大人の色気を持ってデンジャラスな行為を仕掛けてゆく。そこが、ただ激しいだけではなく、深みを持った魔性の魅力で人を魅了するPENICILLINらしさ。
 高ぶる気持ちを熱狂という言葉が似合う様へ一気に染め上げるように、PENICILLINは「heart beat」をぶち噛ました。とても雄々しいハードエッジなロックサウンドだ。ズクズクとした音に触れていると、気持ちが熱く掻き乱される。艶めいた声色も混ぜながら煽るように歌うHAKUEI。その背景では、終始攻撃的なリフを刻む千聖の姿が。一打一打に強い衝撃を与えるソリッドでタイトなO-JIROのドラムが。低音で唸り続けるChiyuのベース演奏が、HAKUEIの高ぶる気持ちをしっかりと押していた。一気に攻めに転じたこのブロックのPENICILLIN。演奏が進むほど、ハートが叫びを上げてゆく。

 「この会場にはみなさんがいなくて、テレビ番組の収録みたいな感じですけど。見えるところにみなさんがいないだけで、みなさんの存在をしっかり感じてパフォーマンスしています」「みんなと距離がちょっと遠いだけで、同じ星の上で観てくれていると思っているので、お互い心で距離を縮めていければ」と語るHAKUEI。

千聖の火を噴くギターリフが飛びだした。メンバー全員が高ぶる気持ちを演奏に、歌声へぶつけてゆく。激しく駆けだした「スペードKING」へ観ている人たちも気持ちを乗せ、荒ぶる演奏に向け、心でダイブしてゆく。止められない衝動、止まらない高揚。開放感とスリルを兼ね備えた楽曲に乗せ、メンバーたちが剥きだした感情を突きつけていた。そこには、バトルという言葉が相応しい、闘志剥き出しで挑発し続ける闘士のようなメンバーたちの姿があった。まさに「ぶっちぎりのスリル」を、PENICILLINは画面の先へぶつけていた。
叫びたい衝動に駆られるHAKUEI。彼の気持ちを後押しするように、Chiyuが声を上げる。演奏は「SEX」へ。身体を貫く攻撃的な演奏だ。触れた人たちを熱狂という渦の中へ巻き込み、一気に恍惚へと導くように挑発し続けるメンバーたち。HAKUEIも、何度も何度も突き刺すように声を張り上げていた。千聖の止まらぬハード&ロックンロール/パンキッシュなギターの演奏。画面の前で煽るように歌うHAKUEI。そして…。
熱く衝撃的な姿で相手を挑発した後に甘い高揚を与えるよう、PENICILLINは最後に「ロマンス」を届けてくれた。飴と鞭…いや、この日は鞭を多めに与えながら、彼らは観ている人たちの気持ちをずっと揺らし、掻き乱していった。同時に、温かさや恍惚を覚える楽曲たちも歌い奏でながら、観ている人たちをメロメロに愛撫してゆくライブも見せていた。ヒリヒリとした痛みに狂喜し高ぶった気持ちの最後に「ロマンス」を届けられたときには、絶頂覚える火照った気持ちのまま、熱狂と幸せという恍惚に抱かれている気分だった。さすが間もなく30周年を迎えるバンドらしい、手練手管を巧みに使い、観ている人たちを熱狂の中へずっと虜にし続けたライブだった。

アンコールは、HAKUEIのバースデーを祝うコーナーへ。大きなバースデーケーキの蝋燭を吹き消し、ここからはバースデー・セレモニーという名の気ままなトークを繰り広げていった。さらにこの日、2月13日  と14日に新宿ReNYで周年ライブを行なうことも発表してくれた。最後に、メンバーが一人一人言葉を述べてくれた。

「今年は次々と挑戦することが多くて何時もの年より長かった気がするけど。それもPENICILLINが前向きに進んでいくバンドだからこそ感じれたこと。来年も、一つ一つの挑戦をバンドの糧にしながら前向きに進んでいくつもりです。今年同様に来年も、配信を含めいろんな新しい楽しみにも取り組んでいくので、来年もよろしくお願いします。
今年はエンターテイメントが危機的な状況になっていたし、僕らも渦中にいるんだけど。僕の認識だと、配信ライブも回を重ねるごとに観てくれる人たちが増えていくなど、PENICILLINの場合は異例なくらい日常に近い環境を作れています。それも、みんなに支えられているからこそ。だからこそ、来年もみなさんの期待へさらに応えていきたいなと思います」(HAKUEI)
「今年は僕たちも自分たちの想い描いた活動ができなかったし、みんなもあきらめなきゃいけないことがたくさんあったと思うけど。まだまだあきらめないでいろいろトライしてほしい。来年は思い描いたように展開している年にしていけたらなと思います」(O-JIRO)
「目の前で会えない淋しさはあるんだけど。こうやって配信をやることで、これまでは「行きたかったけど、遠くて行けません」という人たちも、「観れて嬉しいです」と言ってくれる人たちもいたり、こういうライブの楽しみ方もあるんだなと自分たちでも実感しています。来年も、PENICILLINはいろんな形で戦っていきます。俺たちにとっての今年を言葉にして例えるなら、「密」ではなく、みんなとの関係を深く感じれた「絆」。来年も「絆」を感じながらPENICILLINの音楽を届けていくので、一緒に前向きに進んでいきましょう」(千聖)

次に彼らと出会うのは、2月13日  と14日の周年ライブになる。そのときの模様も、またお伝えしよう。

PHOTO:コザイリサ
TEXT:長澤智典

★インフォメーション★

PENICILLINHAKUEI BIRTHDAY LIVE「SUPER HEART CORE'20」December 16,2020
[URL]



PENICILLIN 2021年2月  有観客2daysライブ決定!

[日程] 2021年2月13日(土)  
[会場] 新宿ReNY
[Title] PENICILLIN 結成29周年「Meet the World」
[時間] 開場16:00/開演17:00

[日程] 2021年2月14日(日)  
[会場] 新宿ReNY
[Title] PENICILLIN LIVE2021 HAPPY BIRTHDAY & VALENTINE’S DAY LIVE SPECIAL
[時間] 開場16:00/開演17:00

サポート:Chiyu (両日)

【一般発売(先着)】
発売日:2月6日(土)  10:00~/イープラスhttp://eplus.jp/


WOWOWにて3月~3カ月連続特集決定!
3~4月:DAIGOさんMCの番組「ヴィジュアル系主義」
5月:29周年ライブ&MV集を放送
https://www.wowow.co.jp/visual/



PENICILLIN Web
https://www.penicillin.jp/
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―セットリスト―
「Blood Red Snow White」
「聖・MARIAN HURRICANE」
「VOID」
「make love」
「C-section」
「number53 -僕ラハ53番目ノヒト-」
「赤裸の境界」
「anti beauty」
「heart beat」
「スペードKING」
「SEX」
「ロマンス」
-ENCORE-
BDセレモニー~トークコーナー

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