ITインフラのソリューション・ディストリビュータである株式会社ネットワールド(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 森田 晶一、以下 ネットワールド)は、自社の販売、購買、財務、及びパートナー向けの販売店支援システムなど、すべての基幹業務システムを仮想サーバ上に再構築し、2010年9月23日  より本格稼働開始したことを発表します。


新しい基幹システムの名称は、「CUVE(Cloud computing、Utility computing、Virtual environment、E-business、キューヴ)」で、ネットワールドが取組むビジネスコンセプトに基づき、自社の技術力とノウハウを結集しています。まず、販売、購買、及び財務システムは、今までSAPで稼働させていたシステムを、今回、株式会社OSKの業務パッケージソフトウェアSMILEieをベースにカスタマイズして刷新しました。また、販売店支援システムは、「PAS-World(Partner total Assist System by Networld)」というシステム名で運用していたものを、今回、Apache、Tomcat、及び開発フレームワークのSeasar2など、オープン技術を活用して再開発いたしました。
「CUVE」では、これらの業務システムの他に、パートナー各社にネットワールドならではの充実した販売支援を提供できるよう、マイクロソフト製品のライセンス管理、認定教育管理、保守契約管理、及びデータ分析システムなどの周辺システムを併せて開発しました。


ネットワールドが基幹システムを再構築した主目的の1つはコンプライアンスの強化です。これを達成するために、ワークフローでの承認機能、各種データへの多様なアクセス制御の設定、データの一元化とバックアップなどのセキュリティ強化を行いました。その他に、膨大な取扱い製品と、パートナーの多様な要望に対応できるよう、商品マスタ、顧客マスタなどを再構成するとともに、取扱い製品の拡大や、様々な販売形態に対応できる柔軟性の高い基盤を確立しました。


ネットワールドは、多種多様な製品を取扱うディストリビュータですが、パートナー各社が付加価値の高いビジネスを展開できるようにするための支援策として、仮想化、ストレージ、バックアップ、ネットワーク、セキュリティなどの分野で技術者体制を構築し、単なる製品の提供だけでなく、サービス&サポートを併せて提供することを推進しています。この取組みの一環として、今回のシステム再構築に当たっては、ネットワールドが提供する製品と技術が、実際のシステムにおいて生み出す価値を可視化できるようにすることを目指しました。


再構築した基幹システム「CUVE」では、可用性の確保を前提に、全てのサーバを仮想サーバで稼働させ、29台のサーバを7台の物理サーバに集約しました。ハイパーバイザは、販売、購買、財務などの基幹システムにヴイエムウェア社 のVMware vSphere4を、社外に公開する「PAS-World」と教育センター申し込み受付けシステムにマイクロソフト社のHyper-Vを使用し、用途に適した使い分けを行いました。

プログラムとデータは、EMC社のストレージシステムCLARiXで一元化し、CLARiXのスナップショット(Replication Manage)とバックアップソフトを連携させてシンプルで確実なデータとプログラムのバックアップを実現しました。
また、仮想サーバの冗長化と拡張性を高めるために、Coyote Point Systems社の負荷分散装置EqualizerのVLB(Virtual Load Balancer)機能を活用して、仮想サーバの負荷分散を実施しました。「CUVE」では、データベースシステムとして、OracleとSQL Serverを使用しています。
設計段階で、DBサーバにかかる負荷が予測できなかったことと、クラスタシステムを仮想サーバで稼働させることに技術面で不確かな要素があったため、「CUVE」カットオーバ時には、2つのDBサーバを、それぞれ2台の物理サーバでクラスタ構成にして稼働させました。カットオーバ後、2ヶ月間稼働状況を監視し、CPU、メモリ使用率、及びIO数などの情報を取得して分析した結果、仮想サーバで稼働させても十分な性能が発揮できると判断できました。その結果を基に、2つのクラスタ化したDBサーバをVMware vSphere4の仮想サーバに移行させ、9月23日  より「CUVE」全体の仮想サーバでの稼働を開始しました。


システムの運用管理は、株式会社野村総合研究所のSenjuを使用し、物理サーバと仮想サーバのリソース管理、ログ監視、ジョブの稼働状態管理などを自動化しました。「CUVE」が出力する様々なログをSenjuで監視し、異常を検知したときには、システム管理者に障害発生を通知することによって、安定したシステム運用を実現させています。
「CUVE」稼働後、Senjuによるリソース管理を継続している中で、仮想化システムの安定性とパフォーマンスの高さが確認できました。そこで、収集した情報をもとに、今後、社内で運用している勤怠管理システム、活動管理システム、及び情報共有システムなど、他のシステムも仮想サーバに移行して、サーバの集約率を更に高めてゆくことを計画しています。


ネットワールドは、サーバとデスクトップの仮想化、仮想環境の運用監視、ストレージ、システムのHA(高可用性)分野に注力しています。 今回再構築したシステムでは、これらの分野でネットワールドが取扱う最先端の製品を活用し、自社内に蓄積した技術力とノウハウを駆使しました。今回のシステム再構築を通して、仮想化システムが基幹システムに不可欠の高い安定性と、パフォーマンスの劣化を発生させない高い処理性能をもつことが実証できたことを、今後、お客様へのご提案にも活かしていきたい考えです。



◆「CUVE」の概要と特長
1. 販売、購買、財務及び各種の周辺システムすべてのサーバ(APサーバ、DBサーバ、各種周辺システム)を、VMware vSphere4で仮想化。社外に公開する販売店支援システム「PAS-World」と教育センター申し込み受付けシステムは、Hyper-Vで仮想化。

2.販売、購買、及び財務の基幹業務のシステムはSMILEie、をカスタマイズして構築。SMILEieのカスタマイズと周辺システムの開発は、マイクロソフト社の技術をベースとし、DBシステムにはSQL Serverを利用。DBサーバは、クラスタシステムMSFC(Microsoft Failover Cluster)により冗長化。
販売店支援システム「PAS-World」は、オープンなWeb技術をベースにして開発。DBサーバにはOracleサーバを利用。DBサーバは、サイオステクノロジー社のクラスタシステムLifeKeeperで冗長化。

3.APサーバやWebサーバは、負荷分散装置Equalizerで、効果的な負荷分散を実施。特にVMware上のWebサーバは、仮想化サーバのロードバランシング機能Equalizer VLBを使い、仮想サーバの負荷を最適化。

4.新基幹システムが取り扱うすべてのデータは、CLARiXで一元管理。データのバックアップは、CLARiXのRM (レプリケーションマネージャ)によって、データベースごとにスナップショットを取得して、テープにバックアップさせる方式を採用することでバックアップの一元化を実現。

5.システムの運用管理は、Senjuを採用。仮想サーバ/物理サーバのCPUやメモリ使用率などリソース管理情報の取得、ログの監視、ジョブの稼働監視など、統合監視を実現。